グリーンエナジー部門の不審な売上減少

 2021年8月23日に行われた投資家向けの決算説明会において、社長の島﨑は、グリーンエナジー部門の売上及び営業利益の減少について、売上の減少はプレミアム剥離によるものと軽く述べるに止め、説明の大部分を営業利益の減少について語る時間に費やしました。恐らく彼にとってこの部分の説明が一番緊張をしたのだと思います。営業利益減少の理由の説明を必要以上にしていたことから、彼の緊張が手に取るようにわかります。ただ、島﨑にとっては幸いにも、投資家の皆さんからこの点についての質問はありませんでした。
 
 しかし、このグリーンエナジー部門の売上にこそ、この不正問題の痕跡が色濃く残っているのです。この点については、私たちは東陽監査法人にも指摘するメールを8月26日に送り、会計的検証を促しています。また、経営陣や監査役がこの点を不審に思わなかったとすれば、いったい何を考えて仕事をしているのでしょう?あ、そうでした。みんなグルでした。そうでした。それでは誰も指摘できませんよね。 
 
 以下に、グリーンエナジー事業の売り上げの減少について説明いたします。
 
 
グリーンエナジー部門売り上げ(決算短信より)
24期 117億40百万円  
25期 125億70百万円
増加   8億30百万円
 
 
壬生発電所稼働
24期 2020年1月~2020年6月 6か月稼働
25期 2021年7月~2021年6月 12か月稼働
 
壬生発電所売り上げ(有報より)
24期 19億63百万円(半年稼働)
S100JQYB.pdf (xj-storage.jp) (7ページ目)
25期 年間稼働により、39億26百万円前後になるはず
 
日田発電所・豊後大野発電所のプレミアム剥落分マイナス(2019年4月より剥落)
日田   4.3円/kWh×約1億kw(×9ヶ月/12ヶ月分)=約3億23百万円
豊後大野 4.3円/kWh×約1.6億kw(×9ヶ月/12ヶ月分)=約6億88百万円
合計 10億11百万円・・・24期比で25期は3Q分のプレミアム価格が減少 
 
白河発電所のプレミアム剥落(2020年9月より剥落)
4.3円/kWh×約1億kw(×9ヶ月/12ヶ月分)=約3億23百万円
・・・24期比で25期は3Q分のプレミアム価格が減少
 
 
 発電所の設備利用率の比較は以下の通り(決算説明会資料より)
 
24期
日田 93.8%  白河 97.2%  豊後大野 93.3%  壬生 47.2%(=94.4%×0.5)
 
25期
日田 95.7%  白河 95.9%  豊後大野 95.1%  壬生 93.4%
 
 上記からもわかるように、設備稼働率の差では、壬生発電所の年間稼働分の売上が増加されることが見て取れるます。その他の発電所の設備稼働率に24期と25期の間で大きな差は認められません。
 
 では、使用燃料の構成比はどうでしょう?(決算説明会資料より)

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS97715/2cf30f60/2309/49d8/a5c0/6fe35d5c2d8d/20210910165013821s.pdf(14ページ目)

 

 大きな変動がみられません。壬生発電所の年間稼働以外、設備利用率と使用燃料の構成比に大きな変動がみられないということは、残りの要素で売上を大きく変動する要因は水分率となります。
 
 整理すると、24期と25期でグリーンエナジー事業の売り上げを比較した場合、上記の検証から、壬生発電所以外の他発電所の設備稼働率に大きな変動はなく、使用燃料の構成比にも大きな変動はありません。売上が増加する要因として、壬生発電所の稼働期間が半年稼働から年間稼働に増えた点であり、減少する要因として、日田・豊後大野発電所の24期3Q分のプレミアムと白河発電所の3Q分のプレミアム分となります(林業事業も増加する要因ですが、売上増加額は軽微であるため割愛)
 
 (決算説明会の資料は、発電所ごとの発電実績は公表していますが、売上実績は公表していない点に注意してください。有報には発電所の売上が記載されるため、前期と比べ、上記プレミアム剥離を除いた売上の減少が見られる発電所がどこか、そこからも不正の痕跡を確認できるはずです。)
 
 約19億程度の壬生発電所年間稼働による売上増加に対して、エフオンが説明している13億34百万円のプレミアム剥離による売上減少があるため、差額は5億66百万円です。この売上減少額の要因は何でしょう?

 

 
 私たちは、少なめに見ても5億円の売上不足の中に、内部告発を受け、25期(2020年7月以降)に入って、バイオマス比率不正操作を控えたことによる売り上げ減少が潜んでいると確信しています。それ以外に説明することは、ごまかしの説明でしかありません。
 
 含水率の比較データから、不正に水増しした金額は、白河発電所と日田発電所で最低でも年間約2億と予測されており、25期と24期の間で、使用燃料の構成比率は大きく変わっておらず、そうであるならば水分率も大きく変動することはありません。IRからの予測計算なので、誤差が含まれているとしても、不正操作をやめたことによる売上減少の疑いが、会計にも色濃く反映されていることを指摘します。このことは、過去10年に渡って続けられてきたことの裏付けでもあります。
 
 その間、島﨑社長の指示のもと、20億円近くの再生エネルギー賦課金を不当に搾取してきている疑いが濃厚です。この点についても、公正中立な第三者委員会による会計的検証が必要な事項となることを私たちは指摘します。